電気通信主任技術者試験
平成14年度第2回
第1種伝送交換主任技術者
伝送交換設備及び設備管理
問2 次の問いに答えよ。(小計20点)
(1)次の文章は、ディジタル電話交換機の通話路の構成について述べたものである。
( )内の(ア)〜(エ)に最も適したものを、下記の解答群から選び、その番号を記せ。ただし、
( )内の同じ記号は、同じ解答を示す。(2点×4=8点)
ディジタル電話交換機では、電話機からの音声信号をディジタル信号に符号化し、一本の
(ア)上で時分割多重化したまま交換している。
通話路は、一般に、時間(T)スイッチと空間(S)スイッチとで構成されている。
Tスイッチでは、音声情報ビット列単位での書き込み、記憶、読み出しのできるメモリ素子
を用いて(イ)の入れ換えが行われる。
また、Sスイッチでは、(ウ)を格子状に設けることにより、(ア)相互間で音声
情報ビット列の乗り換えが行われる。
最も単純な通話路のスイッチ構成は、一般に、Tスイッチ1段で構成される。T-S-Tス
イッチ構成では、多重化チャネル分の(エ)を確保できるが、S-T-Sスイッチ構成で
は、(ア) の数により(エ)が制限される。
<(ア)〜(エ)の解答群>
(1)センス (2)メモリ数 (3)ハイウェイ (4)マトリックス数
(5)蓄積 (6)集積回路 (7)ゲート回路 (8)リンクブロック
(9)制御回路(10) 割り込み (11)接続経路数 (12)トランスレータ数
(13)バッファ(14) トランク(15)MOS回路 (16)タイムスロット
公式解答
問2 3 16 7 11
ディジタル電話交換機では、電話機からの音声信号をディジタル信号に符号化し、一本の(ハイウェイ)上で時分割多重化したまま交換している。通話路は、一般に、時間(T)スイッチと空間(S)スイッチとで構成されている。Tスイッチでは、音声情報ビット列単位での書き込み、記憶、読み出しのできるメモリ素子を用いて(タイムスロット)の入れ換えが行われる。また、Sスイッチでは、(ゲート回路)を格子状に設けることにより、(ハイウェイ)相互間で音声情報ビット列の乗り換えが行われる。最も単純な通話路のスイッチ構成は、一般に、Tスイッチ1段で構成される。T-S-Tスイッチ構成では、多重化チャネル分の(接続経路数)を確保できるが、S-T-Sスイッチ構成では、(ハイウェイ) の数により(接続経路数)が制限される。
デジタル電話機ABCとXYZがあるとする。時間スイッチがない場合は、時分割多重化装置によりハイウェイに出力された多重化信号はそのまま分離装置に入力されて、分離するとAはXに、BはYに、CはZに接続される。
ハイウェイに時間スイッチを設けると、上図のようにタイムスロットの入れ換えを行うことができる。ABCの順番をCABに変更して分離装置に入力すると、AはYに、BはZに、CはXに接続される。
このように、時間スイッチによってタイムスロットの入れ替えを行うことにより交換動作が可能となる。時間スイッチは時分割多重化された信号のまま交換動作を行うものである。
上図は4多重時間スイッチと2ハイウェイ空間スイッチを使用した、8個の電話機の交換機のブロック図である。それぞれのハイウェイ上の多重化信号の、タイムスロットに対する電話機信号をABCDで示してある。電話機Aと電話機Gが通話しているときのAとGの信号の位置を確認すると、Aの信号はGへ、Gの信号はAへ送られている。
このとき時間スイッチはタイムスロットのスロット位置を交換し、空間スイッチはスロット位置は不変でハイウェイを交換している。
このようにして時間スイッチを空間スイッチを組み合わせることで交換動作が可能となる。ただし、空間スイッチのみでの交換動作は不可能である。
(工担マスター アナログ・デジタル総合種)
(2)次の文章は、地上マイクロ波通信方式におけるフェージング対策技術の一つについて述べたも
のである。( )内の(オ)、(カ)に最も適したものを、下記の解答群から選び、その番号を記せ。
(3点×2=6点)
2基の受信アンテナを利用するスペースダイバーシチは、それぞれの受信アンテナを空間的
に離し二つの伝搬路を構成し、(オ)ことを利用したものである。スペースダイバーシチ
には、二つの受信入力のうち品質の良いものを選択する方式と二つの(カ)する方式があ
る。
<(オ)、(カ)の解答群>
(1) 周波数利用効率が向上 (2) 二つの伝搬路の影響の相関が小さい
(3) 回線稼動率が低下する (4) フェージング発生が同じである
(5) 回線不稼動率が向上する(6) 二つの伝搬路の影響の相関が大きい
(7) 受信入力信号を合成 (8) 受信入力信号の差分を選択
(9) 周波数利用効率が低下 (10) フェージング発生が逆相関である
(11) 90度位相を進めるように移相器を制御
(12) 90度位相を遅らすように移相器を制御
(13) 受信入力信号の位相が逆相となるように移相器を制御
公式解答
問2 2 7
2基の受信アンテナを利用するスペースダイバーシチは、それぞれの受信アンテナを空間的に離し二つの伝搬路を構成し、(二つの伝搬路の影響の相関が小さい)ことを利用したものである。スペースダイバーシチには、二つの受信入力のうち品質の良いものを選択する方式と二つの(受信入力信号を合成)する方式がある。
とりあえず丸暗記。っつーか、電波伝播に関しては長い(だけで稚拙だが)経験があり感覚的に分かる。とうぬぼれる。(^_^;)
検索してもこれといった解説が見つからなかったってこともある。カタカナ表記にいろいろ違いがあるせいもあるかな。
(3) 次の文章は、インターネットで用いられているTCPやIPなどのプロトコルについて述べた
ものである。( )内の(キ)、(ク)に適したものを、下記のそれぞれの解答群から選び、その番号を記せ。
(3点×2=6点)
(i) IPの機能について述べた次のA〜Cの文章は、(キ)。
A IPアドレスに基づき相手ホストまでの通信経路の制御を行う。ここで、相手ホストの
IPアドレスが不明な場合には、下位層にあるARPといわれるプロトコルを用いて相手
IPアドレスを知ることができる。
B IPパケットのヘッダには、エラーチェック用の情報が含まれており、データ部に含まれ
るすべての情報に対し、伝送媒体上で生じた符号誤りを検出することができる。
C IPの下位層が送信可能であるデータの最大転送単位(MTU)には、使用するネットワー
クによってそれぞれ制限がある。したがって、IPでは、上位層からのデータをMTUに合
う適切な大きさのデータに分割して転送している。
<(キ)の解答群>
(1) Aのみ正しい (2) Bのみ正しい (3) Cのみ正しい
(4) A、Bが正しい (5) A、Cが正しい (6) B、Cが正しい
(7) A、B、Cいずれも正しい(8) A、B、Cいずれも正しくない
(ii) TCPと同じ階層で用いられるプロトコルとしてUDPがある。TCPやUDPの機能につ
いて述べた次のA〜Cの文章は、(ク)。
A TCPでは、上位層のアプリケーションプロトコルを複数取り扱うため、ポート番号を使
用している。利用度の高いアプリケーションプロトコルに対しては、あらかじめ使用するポ
ート番号が割り当てられている。
B IPでのデータ転送がコネクションレスで行われるのに対し、TCPやUDPでは、コネ
クションを設定してからデータ転送を行っている。なお、TCPでは、各パケットにシーケ
ンス番号を付与するとともに、受信確認を行っているため、UDPに比較して信頼性の高い
通信が確保できる。
C TCPで用いられるスライディングウインドウ方式では、受信側からパケットごとに必ず
受信応答(ACK)を受けなくても、ウインドウサイズで決めた数までのデータを連続して送
信できるフロー制御を行っている。
<(ク)の解答群>
(1) Aのみ正しい (2) Bのみ正しい (3) Cのみ正しい
(4) A、Bが正しい (5) A、Cが正しい (6) B、Cが正しい
(7) A、B、Cいずれも正しい(8) A、B、Cいずれも正しくない
公式解答
問2 3 5
(i)
A ARPは、IPアドレスに対応するMACアドレスを探すものなので、誤り。
B IPパケットに含まれるチェックサムは、チェック対象をヘッダ部分に限っていて、データフィールドの上位プロトコルは対象外であるので、誤り。
C IPパケットは可変長であるが、その全長は、10BASE-TなどのLANのデータフィールドの最大長に合わせて、最大長のディフォルト値を1500バイトにしている。正しい。
(ii)
A まぁUDPでもポート番号があるけど。正しい。
B TCPはCO型プロトコルだが、UDPはCL型である。したがって、誤り。
C TCP通信では受信ノードがデータを受信すると、「ウインドウサイズ」を含むAckを相手に返信します。このウインドウサイズを徐々に増やしていき一度に多くのデータを送信しようとする方式をスライディング・ウインドウと言います。送信ノードはウインドウサイズ分のデータを確認応答(Ack)無しで送信することが可能です。(http://www.allied-telesis.co.jp/products/product/qosworks/detail/rate.html) 正しい。