電気通信主任技術者試験
平成14年度第2回

第1種伝送交換主任技術者
伝送交換設備及び設備管理



問1 次の問いに答えよ。(小計20点)
 

(1) 次の文章は、電気通信設備のライフサイクルコストなどについて述べたものである。
(   )内の(ア)〜(エ)に最も適したものを、下記の解答群から選び、その番号を記せ。ただ
し、(   )内の同じ記号は、同じ解答を示す。(2点×4=8点)
 

 ライフサイクルコストは、システムの開発から寿命が尽きて処分されるまでの期間を考え、
その間の開発費、製造費、保全費、補給品費、要員訓練費、運用費、処分費などの総合コスト
のことであり、この総合コストの最小化を図ることは、ライフサイクルコスティングといわれ
ている。

 ライフサイクルコストは、一般に、使用者の負担となり、次式で示される。

   ライフサイクルコスト=(ア)コスト+運用コスト+(イ)コスト

 機器や部品は、使用中に劣化や摩耗などが生じ、システムや設備の停止原因となることがあ
る。したがって、(ア) コストの中には、システムなどの停止を防止するため、開発段階
から故障検出装置や(ウ) を組み込み、かつ、システムなどを構成する機器・部品などの
点検や分解が容易な構造にする保全設計のコストを含める必要がある。
 運用段階では、故障検出装置や(ウ) などにより、故障の早期検出と処置が容易となり、
システムなどの(エ) を短くすることができる。
 すなわち、保全性に関しても企画段階から保全性設計方針や目標を設定し、保全作業の容易
性を考慮した構造とするなどの設計をしなければならない。
 

<(ア)〜(エ)の解答群>
(1)稼働率 (2)IGS (3)PSTN (4)多重系装置
(5)保全  (6)設計  (7)MIS  (8)MUT(Mean Up Time)
(9)廃棄  (10)取得 (11)UPS (12)故障診断装置
(13)開発 (14)営業 (15)MTTF(16)MDT(Mean Down Time)


 

公式解答
問1 10  9 12 16

 


 

 ライフサイクルコストは、システムの開発から寿命が尽きて処分されるまでの期間を考え、 その間の開発費、製造費、保全費、補給品費、要員訓練費、運用費、処分費などの総合コストのことであり、この総合コストの最小化を図ることは、ライフサイクルコスティングといわれている。

 ライフサイクルコストは、一般に、使用者の負担となり、次式で示される。

   ライフサイクルコスト=(取得)コスト+運用コスト+(廃棄)コスト

 機器や部品は、使用中に劣化や摩耗などが生じ、システムや設備の停止原因となることがある。したがって、(取得) コストの中には、システムなどの停止を防止するため、開発段階から故障検出装置や(故障診断装置) を組み込み、かつ、システムなどを構成する機器・部品などの点検や分解が容易な構造にする保全設計のコストを含める必要がある。
 運用段階では、故障検出装置や(故障診断装置) などにより、故障の早期検出と処置が容易となり、システムなどの(MDT) を短くすることができる。

 すなわち、保全性に関しても企画段階から保全性設計方針や目標を設定し、保全作業の容易性を考慮した構造とするなどの設計をしなければならない。

 

製造者側のライフサイクルコストとしては、開発コスト、生産コスト、流通コストなどがあるが、近年、運用コスト、破棄コストも含めたトータルライフサイクルコストの最適化が求められている。

 

運用アベイラビリティ=平均動作可能時間(MUT)/{平均動作可能時間(MUT)+平均動作不可能時間(MDT)}

アベイラビリティとは「稼働率」のこと。システムが動作可能な状態にある時間の割合。

 

ちなみに、固有アベイラビリティ=平均故障間隔(MTBF)/{平均故障間隔(MTBF)+平均修理時間(MTTR)}

この式は、システムが使える状態にある時間の割合。

 

 


 

(2)次の文章は、通信用電源について述べたものである。(   )内の(オ)、(カ)に最も適した
ものを、下記のそれぞれの解答群から選び、その番号を記せ。(3点×2=6点)
 

(i)全浮動充電方式では、ブースタコンバータなどの(オ)している。

<(オ)の解答群>
(1)負荷電流補償器を用い、負荷の電流変動を規格値内に補償
(2)位相調整器を用い、受電電圧の電圧変動を調整
(3)電圧制御装置を用い、浮動充電電圧の変動を制御
(4)負荷電圧補償器を用い、負荷の電圧変動を補償

(ii)通信用電源の予備エネルギー源として用いられる鉛蓄電池では、電池の(カ)が必要である。

<(カ)の解答群>
(1)強制放電による充電不足を補うため、過充電
(2)長時間使用において発生する蓄電池単体ごとの電解液比重差や電圧差を均一化するため、浮動充電
(3)自己放電による充電不足を補うため、浮動充電
(4)過充電を防止するため、均等充電
 


 

公式解答
問1 4  3

 


 

(i)全浮動充電方式では、ブースタコンバータなどの(負荷電圧補償器を用い、負荷の電圧変動を補償)している。

全浮動充電方式って、検索しても過去問題にしか出てこなかった。ブースター方式は、DC−DCコンバータを使用してバッテリーの電圧低下を補い、最終電圧まで使いきろうって技、らしい。

 

(ii)通信用電源の予備エネルギー源として用いられる鉛蓄電池では、電池の(自己放電による充電不足を補うため、浮動充電)が必要である。

 


 

(3)次の文章は、伝送技術について述べたものである。(   )内の(キ)、(ク)に適したものを、
下記のそれぞれの解答群から選び、その番号を記せ。(3点×2=6点)
 

(i)平衡対ケーブルでは、一般的に2本又は4本の心線を撚り合わせた構造の平衡対心線が用い
よられている。撚り合わせを行う理由について述べた次のA〜Cの文章は、(キ)。

A 漏話減衰量を低減するためである。
B 心線間の静電容量及び相互インダクタンスを大きくするためである。
C 反射減衰量又は熱雑音を低減するためである。

<(キ)の解答群>
(1)Aのみ正しい  (2)Bのみ正しい  (3)Cのみ正しい
(4)A、Bが正しい (5)A、Cが正しい (6)B、Cが正しい
(7)A、B、Cいずれも正しい(8)A、B、Cいずれも正しくない

(ii)PCM方式において、アナログ信号をディジタル信号に変換する過程は、標本化、量子化、
符号化に大別することができる。これらの過程の中で発生する雑音について述べた次のA〜C
の文章は、(ク)。
 

A 標本化の過程において、サンプリング周波数を fo とした場合、入力信号に以上の fo/2
周波数成分があると、復号の際に折り返し雑音を発生する要因となる。

B 量子化の過程では、サンプリングされたパルスの振幅を離散的な値に変換する際の誤差に
より過負荷雑音が発生する。

C 標本化の際に使用するパルスが、理想的なインパルスでないことから、高調波成分が除去
できず補間雑音が発生する。

<(ク)の解答群>
(1)Aのみ正しい  (2)Bのみ正しい  (3)Cのみ正しい
(4)A、Bが正しい (5)A、Cが正しい (6)B、Cが正しい
(7)A、B、Cいずれも正しい(8)A、B、Cいずれも正しくない


 

公式解答
問1   8  1

 


 

(i)

A 撚りを与えることにより漏話電圧が打ち消される。漏話電力が小さくなると、漏話減衰量=10log10(信号電力/漏話電力)より、漏話減衰量は大きくなる。

B 心線間の静電容量、相互インダクタンスは、大きくなると漏話が増大するのだから、誤り。撚りを与えることにより誘導電圧を打ち消す。

C 反射減衰量はインピーダンスの不整合によるもの。熱雑音は半導体やケーブル中の電子の熱運動によるもの。

 

(ii)

A サンプリングは元の信号に含まれる最高周波数の2倍以上の周波数で行う。逆にいうと、元の信号にサンプリング周波数の1/2以上の周波数成分が含まれていると、標本化されたDSBスペクトラムが信号の帯域に入り込んで雑音になってしまうわけ。

B 過負荷雑音は、最大振幅を越えた標本値について発生。

C 補間雑音って何? 検索しても、過去問題しか出てこなかったぞ。

 

 

 

 

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