問5 ATMに関する次の問いに答えよ。(小計20点)
(1) 次の文章は、ITU-T勧告に準拠したATM網に期待される機能の概要について述べたもの
である。( )内の(ア)〜(エ)に最も適したものを、下記の解答群から選び、その番号を記せ。(2点×4=8点)
ATM網とATM端末とのインタフェースはUNIといわれ、ATM網相互間のインタフェースは(ア) といわれる。
インタフェースの中のATMレイヤは、ATMセルを送受信する機能を提供するだけで、音声やデータなどの情報の種類には依存していない。
しかし、ATMでは、情報の種類に応じたサービスが提供されるように、サービスクラスを定義しており、クラス(イ) は、実時間
性が要求される音声・画像転送に適用される。これらのサービスクラスに対応した機能を提供
する(ウ) は、大別して、CSとSARの二つの副層から構成されている。
このようなことから、ATM網に期待される機能としては、単に情報の高速転送だけではな
く、エンド・エンド間での使用可能帯域や転送遅延に関わる(エ) が保証されることにある。
<(ア)〜(エ)の解答群>
(1) OAM (2) AAL (3) 接続(4) MMI
(5) RDI (6) SN比(7) NNI (8) TC
(9) AとB (10) BとC (11) CとD (12) D
(13) 切替(14) SSCOP (15) VCI (16) QoS
ATM網とATM端末とのインタフェースはUNIといわれ、ATM網相互間のインタフェースは(NNI) といわれる。
インタフェースの中のATMレイヤは、ATMセルを送受信する機能を提供するだけで、音声やデータなどの情報の種類には依存していない。
しかし、ATMでは、情報の種類に応じたサービスが提供されるように、サービスクラスを定義しており、クラス(AとB) は、実時間性が要求される音声・画像転送に適用される。これらのサービスクラスに対応した機能を提供する(AAL) は、大別して、CSとSARの二つの副層から構成されている。
このようなことから、ATM網に期待される機能としては、単に情報の高速転送だけではなく、エンド・エンド間での使用可能帯域や転送遅延に関わる(QoS) が保証されることにある。
UNI ユーザー・網インターフェース
NNI ネットワーク・ノードインターフェース
QoS サービス品質
AAL ATMアダプテーションレイヤ
サービスクラス |
A |
B |
C |
D |
AALタイプ |
AAL1、AAL2 |
AAL3/4、AAL5 |
||
送受信間の |
必要 |
不要 |
||
ビット速度 |
固定 |
可変 |
||
接続モード |
CO型 |
CL型 |
||
サービス例 |
電話 |
可変速度ビデオ |
データ |
データ |
データ通信では主にAAL5を使用。
AAL1は電話を想定。他にAAL2も使用。
ビデオ信号の伝送にはAAL2が適している。
ATMのアーキテクチャ
ATMアダプテーションレイヤ(AAL) |
コンバージェンスサブレイヤ(CS) |
分割組み立てサブレイヤ(SAR) |
|
ATMレイヤ |
|
物理レイヤ |
伝送コンバージェンスサブレイヤ(TC) |
物理媒体サブレイヤ(PM) |
(3週間完全マスターテクニカルエンジニアネットワーク2002年版)
(2) 次の問いの( )内の(オ)に適したものを、下記の解答群から選び、その番号を記せ。(3点)
ATMセルの種類について述べた次のA〜Cの文章は、(オ) 。
A 物理レイヤで速度整合のために生成・挿入され、他の用途には使用されないATMセルは、空きセルといわれる。
B 空きセル以外で、ヘッダに誤りを含まないATMセルは、有効セルといわれる。
C 空きセル以外で、ヘッダに誤りが検出され、かつ、それが訂正されたATMセルは、無効セルといわれる。
<(オ)の解答群>
(1) Aのみ正しい(2) Bのみ正しい(3) Cのみ正しい
(4) A、Bが正しい(5) A、Cが正しい(6) B、Cが正しい
(7) A、B、Cいずれも正しい(8) A、B、Cいずれも正しくない
空きセル
ATMレイヤと物理レイヤとの境界において、伝送システムのペイロード容量とセル・フロー速度を整合するために、物理レイヤにおいて挿入/除去されるセル。その他の用途には使用されない。
バースト的な情報を転送する場合、ある瞬間には送るべき情報がないときがある。このようなとき、空きセルを適宜挿入して速度を調整することができる。空きセルは特定のヘッダ・パターンによって識別することができる。また情報フィールドには"01101010"の繰り返しパターンが入っている。
有効セル
物理レイヤが扱うセルの種類の一つ。ヘッダ誤り制御処理によって、ヘッダが誤りを含んでいないと宣言されたセルのこと。
空きセル(idle cell)以外で、ヘッダ誤り(header error)を含まないセル、またはヘッダ誤りが訂正されたセルを有効セルと呼ぶ。これに対し、ヘッダー誤りを含んでいると宣言されたセルを無効セル(invalid
cell)という。ヘッダ誤りを含んでいてもそれが検出できなかった場合も有効セルとみなされる。
無効セル
ATMネットワークの物理レイヤが扱うセルの種類の一つで、ヘッダ誤り制御処理によって、ヘッダが誤りを含んでいると宣言されたセルのこと。
空きセル以外で、ヘッダ誤りが検出され、それが訂正できなかったセルが無効セルである。無効セルは物理レイヤで廃棄される。これに対して、ヘッダ誤りをを含まないセル、またはヘッダ誤りが訂正されたセルを有効セルという。
http://www.bell.jp/pancho/terminology/hyper-dictionary/term-index2/atm-idx.html
C 誤りが訂正されたセルは有効セルである。
(3) 次の問いの( )内の(カ)に適したものを、下記の解答群から選び、その番号を記せ。(3点)
ITU-T勧告に準拠したATM網のコネクション形のプロトコル参照モデルについて述べ
た次の文章のうち、誤っているものは、(カ) である。
<(カ)の解答群>
(1) ATM網のプロトコルは、ユーザプレーン、制御プレーン及び管理プレーンから構成されている。
(2) ATM端末がATM網を介してユーザ情報を送受するために使用されるプロ
トコルは、ユーザプレーンといわれる。ATM網は、ATMセルの転送時にユ
ーザプレーンとして、物理レイヤから上位レイヤまでのすべてのレイヤを提供する。
(3) ATM端末とATM網との間で呼やコネクションの設定、解放等に関する制
御情報を扱うプロトコルは、制御プレーンといわれる。
(4) ATM網の保守やトラヒック状態の管理などの運用に関するプロトコルは、
管理プレーンといわれ、レイヤ管理とプレーン管理とに分けられる。
(3週間完全マスターテクニカルエンジニアネットワーク2002年版)
解答群(2)の内容がよくわからんのだけれども、消去法で解答かな。
上図のとおり、ATMのプロトコルは、ユーザープレーンと制御プレーン、管理(マネジメント)プレーンから構成されている。
制御プレーンはコネクションの設定と解放を行い、管理プレーンはレイヤ管理とプレーン管理とに別れている。
(4) 次の問いの( )内の(キ)に適したものを、下記の解答群から選び、その番号を記せ。(3点)
ATM網のトラヒック制御について述べた次のA〜Cの文章は、(キ) 。
A ATM端末から送出されるトラヒックが、ユーザの申告値を超えていないかどうかを
ATM網の入口で監視する機能は、UPCといわれ、申告値を超えたATMセルに対する処
理の一つに廃棄がある。
B 申告値を超えたATMセルへのタギングでは、ヘッダ内のCLPの値が1 から0 に置き換えられる。
C シェーピングでは、申告値を超えたATMセルが、ATM網の規定値に合うように一定の範囲で遅延される。
<(キ)の解答群>
(1) Aのみ正しい(2) Bのみ正しい(3) Cのみ正しい
(4) A、Bが正しい(5) A、Cが正しい(6) B、Cが正しい
(7) A、B、Cいずれも正しい(8) A、B、Cいずれも正しくない
3.2.3 UPC
網は契約速度以内で通信を行うようUPC(Usage Parameter Control:使用量パラメータ制御)を用いて制御しているため、パラメータを満足していない違反セルは廃棄されます。セルの通過、廃棄の条件はTTC
標準JT-I371に準拠したPCR 監視アルゴリズム(バーチャルスケジューリングアルゴリズムまたは連続状態リーキーバケットア
ルゴリズム)で厳密に定義されています。これらのアルゴリズムによるATM セルの通過・廃棄の結果は等価です。
2.5 CLP フィールド
PVC メニューでは本フィールドをトランスペアレントに転送します。CUG
メニューでは、MCR を超えた部分のCLP=0 セルは網内でCLP=1 に書き換える場合があります。
MCR 保証速度
保証速度を越えた場合、CLPが0から1へ書き換えられる。申告値ではない。
3.2.1 PVC メニュー速度保証タイプ
最高速度(PCR)を常に保証します。最高速度(PCR)を違反するセルは、UPC で廃棄されます。端末設備で、シェーピングにより、最高速度(PCR)以下で網へ送出する必要があります。
PCR 最高速度 ピークセルレート 各VC(論理的通信路) において、セルを網に送出できる時間間隔の最小値の逆数です。
つまり、単位時間あたりに転送できるセル数の最大値を意味します。
設問での「申告値」がこれにあたるのではないかな。
参考資料
http://www.ntt-east.co.jp/senyo/pdf_gijutu/mdn_tec2.pdf
(5) 次の問い( )内の(ク)に適したものを、下記の解答群から選び、その番号を記せ。(3点)
SDHベースのUNIにおけるフレーム同期がとれている状態でのセル同期について述べた次の文章は、(ク) が正しい。
<(ク)の解答群>
(1) 連続するバイト(オクテット)列からATMセルの先頭を見付けだし、特定す
ることは、セル同期といわれる。
(2) セル同期がとれていれば、送信側及び受信側において、ヘッダ誤り無しと検
出され、セル同期がとれていなければ、HECの計算過程で連続してヘッダ誤
りが検出されることを利用して、セル同期が行われる。
(3) 前同期状態で、ATM網で決められた複数回のHEC誤りが連続的に検出さ
れたとき、前同期状態からハンチング状態に戻る。
(4) 同期状態から1回でもHEC誤りを検出したときには、セル同期が外れたと
みなされる。
(1)
正しい セル同期の確立にはヘッダ誤り制御(HEC)フィールドを利用する。
(2)
よくわからんのだけれど。
HECの検出は受信側で行われるから、「送信側及び受信側において」ってところが誤りなのかなぁ。
(3)
前同期状態での同期処理は、正しいHECであるかどうかを53バイトごとに照合することにより実行します。処理は、連続的に6回正しいHECであることを確認するまで繰り返します。HEC誤りが検出された場合、処理はハンチング状態に戻ります。
前同期状態から複数回HEC正常を検出すると同期状態になるけど、1回でもHEC誤りが検出されるとハンチング状態へ遷移するってことですね。
(4)
HECエラーを7回連続して検出したときにセル同期外れ(LCD)となる。HEC正常を7回連続して検出すると解除される。
参考資料
http://www.ntt-west.co.jp/senyo/pdf/tech04_07.pdf
問5 7 9 2 16 4 2 5 1